久保清隆のブログ

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論理的思考力(ロジカルシンキング)を鍛える方法:効率的なステップとオススメの本

論理的思考力(ロジカルシンキング)を鍛えるための方法は色々あるが、効率的に鍛える方法とオススメの本をまとめた。


目次

ロジカルシンキングの基礎を学ぶ:まず知る

論理的思考力を鍛えるにあたって、まずは『そもそも論理的思考力とは何か?』をはっきりさせる。
そのために次の二冊を読む。

1冊目

ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル (Best solution)

ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル (Best solution)

第1部 書いたり話したりする前に (相手に「伝える」ということ / 説得力のない「答え」に共通する欠陥) 第2部 論理的に思考を整理する技術 (重複・漏れ・ずれを防ぐ / 話の飛びをなくす) 第3部 論理的に構成する技術 (So What? Why So?とMECEで論理を作る /   論理パターンをマスターする /   論理パターンを使いこなす)

まずはこの本から。
相手に伝えるという視点から、ロジカルシンキングの大切さやロジカルシンキングの基本についてわかりやすく解説している。
一章から五章と、七章の論理FAQを中心に読んでおけばいいと思う。
論理FAQでは、ロジカルシンキングを学ぶと多くの人が最初に感じるであろう疑問に答えてくれている。

要点

相手に何かを伝えるときは、いきなり具体的な内容(メッセージ)を考えるのはNG。まず次の2点を確認する。

  • 課題(テーマ)
  • 相手に期待する反応

そして、メッセージを用意する。メッセージは次の3つの要素からなる。

  • 結論
    • 本当に課題の答えになっているかチェック
    • 人によって解釈がぶれるような点がないかチェック
  • 根拠
    • 根拠がコインの裏返しになっていないかチェック(「Aが必要。なぜならAがないから。」は根拠にならない)
    • 事実か判断なのかを明確にする。事実:具体的に何をさすのか。判断:なぜどこに着目してそう思ったか。
    • 前提条件や判断基準は明確かチェック。判断の軸こそが戦略的な視点となる。
    • 漏れや重複がないかをチェック。漏れは根拠の崩壊につながり、重複は相手を苛立たせる。
    • 結論とずれていないかチェック。根拠と結論がずれていると、話は全て無駄になる。
    • 論理が飛躍して、話がつながらなくなっていないかチェック。話の飛びは相手の理解を拒絶させる。
  • 方法
    • 方法は具体的かチェック。他の人、他の時代でも通用するような公理、よくある一般論では人は動かない。
    • 修飾語をつけてごまかしていないかチェック。具体的に言えない場合は、問題が解けていないということ。

根拠を考えるときに、

  • 「MECE(モレなくダブリなく)」によって、漏れ、重複、ずれを防ぐ。
  • 「so what?、why so??」という技術によって、話の飛びを防ぐ。

MECEについて

  • MECEには以下の2つのタイプがある。
    • 完全に要素分解できるもの:年齢、性別、地域、など。
    • 漏れや重複が絶対ないとは証明できないが、これだけ押さえれば大きな重なりや欠落はないとみなせるもの:3C、4P、組織の7S、効率/効果、質/量、など。
  • MECEの切り口は複数持っていた方が、相手を説得しやすい。複数の切り口の中で、目的を満たす最も適切なものを選ぶ。
  • MECEにする際、まずは課題を明確にし、課題や目的からMECEな切り口を連想する
  • MECEにすることを目的化しない。目的を達成するための手段として、MECEがある。
  • MECEの切り口の定義は明確化する。そこがあいまいだと分類できない。
  • MECEにした時、それぞれの要素の数に偏りがあると、その切り口は不適切。
  • 最後に、漏れや重複がないか確認する。
  • MECEの切り口が思いつかない場合、以下の2つを試す。
    • AとA以外に分け、A以外をさらに分けていく。
    • 要素を列挙して、切り口のヒントにする。
  • MECEの切り口まとめロジカルシンキングを身につけるために知っておくとよいこと 〜MECEの4つの切り口 - 久保清隆のブログ

so what?、why so?について

  • 「so what?」は、手持ちの情報や材料から、結局どういうことなのか?、を抽出する作業
  • 「why so?」は、so what?されて出てきたものが、なぜそう言えるのか?、具体的にはどういうことか?、と検証・確認する作業
  • so what?、why so?は日頃から考える習慣をつけることが大切。
  • 飲み込みが速いと言われる人は、大事なポイントを素早く的確に抽出できる人で、so what?する力が強い人。
  • so what?は、観察洞察の2種類がある。
    • 観察のso what?は、提示した事実を全体集合として、そこから言えることを要約する。大事なのは、観察のso what?を聞くことで、その事実を見ていない相手が事実を描くことができる、具体的にイメージできること。これを出来る人は意外に少ない。
    • 洞察のso what?は、複数のデータの中からそこに存在するであろう一定のルールや法則性を導き出したり、ある情報から、それとは違う種類の情報を引き出す。大事なのは、一見突飛に見えるアイデアを、話の飛びなくわかりやすく説明できること。

2冊目

次にこの本を読む。

問題解決プロフェッショナル「思考と技術」

問題解決プロフェッショナル「思考と技術」

第1章 思考編 (ゼロベース思考 / 仮説思考) 第2章 技術編 (MECE / ロジックツリー) 第3章 プロセス編 (課題を設定する / 解決策の仮設を立てる / 解決策を検証・評価する /   「ソリューション・システム」シートを使う) 第4章 実践編「ソリューション・システム」活用の現場 (事業課題を設定する / 「ソリューション・システム」で新商品の導入を図る /  解決策を実行する)

この本では、思考方法ツールを使いこなす方法について知る。
具体例が多いので非常にわかりやすい。

要点

  • ゼロベース思考
    • 既存の枠内で考えるのではなく、枠を取り外してゼロの状態で考える。
  • 仮説思考(常にその時点での結論を持ってアクションを起こす)
    • アクションに結びつく結論を常に持つ(結論の仮説)
    • 結論に導く背後の理由やメカニズムを考える(理由の仮説)
    • ベストを考えるよりもベターを実行する(スピードを重視)
  • ロジックツリー(限られた時間の中で広がりと深さをおさえる)
    • 原因追及のロジックツリー(whyを繰り返す)
    • 解決策具体化のロジックツリー(so howを繰り返す)
  • ソリューションシステム
    • ステップ1:課題の設定(問題となる現象を解決すべき課題として捉える)
    • ステップ2:解決策の仮説(課題に対する解決策の仮説を作る)
    • ステップ3:解決策の検証・評価(解決策の仮説を検証・評価する)
    • 解決策実施
例) 問題:頭が痛い
   課題:頭痛を治せるか?
   解決策:寝る。薬を飲む。病院に行く。
   評価:お金の余裕、時間の自由度、痛さの緊急性
   実施:薬を飲む。

ロジカルシンキングを身につける:思考する

ロジカルシンキングについて概要がわかったところで、次は実際に自分の頭を使って考えてみる。そのために次の2冊を使う。

1冊目

論理力を鍛えるトレーニングブック (かんきビジネス道場)

論理力を鍛えるトレーニングブック (かんきビジネス道場)

第1部 理論編・論理思考の基礎   論理思考ができると仕事はどう変わる?   論理思考のツール   思考をドライブするための手法 第2部 実践編・論理思考のトレーニング   確実に言えることを判断する   短い命題の論理の穴を発見する   会話をしながらイシューを押さえる   長文の論理を構造化して理解する   ロジックの弱点を発見し、効果的に主張をつくる

この本は、前半がロジカルシンキングの説明、後半がトレーニング問題とその解説。
前半で、軽くロジカルシンキングの基礎を復習し、後半のトレーニング問題に取り組む。
自分の頭でまず考え、自分なりの答えを出すというプロセスが成長の鍵になる。
すぐに解説を見ていたら、いつまでたっても身に付かないと思う。

2冊目

次はこの本。

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

第1章 「地頭力」とは何か 第2章 「フェルミ推定」とは何か 第3章 フェルミ推定でどうやって地頭力を鍛えるか 第4章 フェルミ推定をビジネスにどう応用するか 第5章 「結論から考える」仮説思考力 第6章 「全体から考える」フレームワーク思考力 第7章 「単純に考える」抽象化思考力 第8章 地頭力のベース 第9章 さらに地頭力を鍛えるために

地頭力を鍛える。
地頭力の本質は、「結論から」「全体から」「単純に」考える三つの思考力である。この三つの思考力は訓練によって鍛えることができるものであり、地頭力を鍛えるための強力なツールとなるのが「フェルミ推定」である。問題演習用じゃないけど、思考プロセスを学ぶという意味ではよい本。

自分で問題を作って解く

本に頼らず自分で問題を作って解くのもいい練習になると思う。
私はハンドボールをやっていたので、例えばハンドボールの国内競技人口を二倍に増やすには?という課題について考えてみる。
まずは考える方針を決める。
国内競技人口がどういう要素で成り立っているかを考え、どの要素を伸ばすのがいいのかを考えることにする。
まず、国内競技人口は、
国内競技人口 = 日本の人口 × 認知度(ハンドボールを知っている割合) × 欲求度(やりたいと思う割合) × 環境(やれる環境にある人の割合)
と分解できる。
この中で日本の人口を増やすのは現実的に無理だろう。
その他の3つの要素について現状を把握。
仮に認知度が40%、欲求度10%、やれる環境にいる割合が10%だとすると、ボトルネックは、欲求度と環境の2つになる。
そこで、やりたいと思わせるような施策を打って欲求度を2倍にするとか、やれる環境を作ることでやれる環境を2倍にするとかが2倍に出来る可能性が高そう。

と言う風に考えを進めていくことで、論理的思考力を訓練していく。
課題を実際の仕事において設定すると、仕事の問題も解決できるし論理的思考力も高まるし、一石二鳥だと思う。


ロジカルに伝える力を身につける:伝達する

自分の頭で考えられるようになってきたら、今度は書いたり話したりしてアウトプットできるようにする。
そのために次の3冊を読む。

1冊目

ロジカル・プレゼンテーション――自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」

ロジカル・プレゼンテーション――自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」

序章 新規事業立ち上げのストーリー 第1章 提案の技術とは 第2章 論理思考力―話をつなぐスキル 第3章 仮説検証力―疑問に答えるステップ 第4章 会議設計力―議論をまとめるスキル 第5章 資料作成力―紙に落とすステップ 第6章 最終章

この本は教科書的存在。コンサルタントがクライアントに提案をするストーリーによってロジカルプレゼンテーションを学んでいくことができる良書。特におすすめ。もうすでに3回読んだ。就活中にこの本に出会って面接力とグループディスカッション力が上がった気がする。

要点

  • 提案の技術は以下の4つの要素から成り立つ
    • いかに的確に考えるか:①論理思考力、②仮説検証力
    • いかに的確に伝えるか:③会議設計力、④資料作成力
  • ①論理的思考力
    • 縦の論理
    • 横の論理
  • ②仮説検証力
    • 目的、論点、仮説、検証、示唆の順で考える
  • ③会議設計力
    • 着地点を決める:位置づけをはっきりさせる。インプット・アウトプットをはっきりさせる。
    • 着地スタイルを決める:読む人/聞く人、全体観派/芋づる派、トップダウン/ボトムアップによって、どのように説明していくかを決める。
  • ④資料作成力
    • 5つのステップで資料をまとめる
    • メッセージ:最も相手に伝えたい内容を凝縮した文章
    • チャート:メッセージを図持したもの。グラフ、図表、イラスト、写真も含む。相手が正しく理解するのを助ける役割
    • スライド:複数個のチャートを組み合わせて配置し、言いたいことを表現したもの
    • パッケージ:複数のスライドを組み合わせて1つのストーリーを構成したブロック
    • マテリアル:完成版の資料。様々なパッケージが集まって構成された、会議を行うために必要な資料群。

2冊目

意思伝達編  論理力を鍛えるトレーニングブック

意思伝達編 論理力を鍛えるトレーニングブック

ロジックで意思伝達のパワーを上げよう 第1部 基礎編―論理思考で意思をつくり伝える   意思が伝わるメッセージはココが違う!   意思伝達力を生み出すステップ 第2部 基礎演習編―意思伝達トレーニング   イシューと結論を押さえる   ストラクチャを発見する   「So What?」で意味を抽出する   ピラミッドストラクチャを完成させる   表現に展開する 第3部 総合演習問題   意思伝達力を鍛えて自分の理想を実現させる

これは、上で紹介した論理力を鍛えるトレーニングブックの姉妹本。
前半が説明で、後半が演習問題。解説も詳しめ。やはり演習しないと身に付かないので必須。

3冊目

考える技術・書く技術 ワークブック〈上〉

考える技術・書く技術 ワークブック〈上〉

1 基本コンセプトを理解する   基本コンセプトを理解する   ピラミッド構造を見る ほか 2 縦方向にQ&A関係をつくる   縦と横、2方向のロジックで考えをガイドする   縦方向にQ&A関係をつくる 3 横方向のロジックを明らかにする   横方向のロジックを明らかにする   演繹的理由づけ ほか 4 導入部をつくる   読み手の疑問を決める   補足演習(オプション)

これも簡単な説明と演習問題。問題数が多い。
ちょっと難しいかもしれないので、わかりにくい場合は、次の本を参照。

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則


ロジカルシンキングを習慣化する

ここまでで基本的なことがだいぶ身についているはずなので、次は習慣として論理的に考える癖をつける。
習慣化するには次の記事を参照。