リンパマッサージでリンパの流れをよくすると健康によいとエステティシャンから聞いたことがあった。
私は薬学部で大学院まで出たので、生理学でリンパのことは習ったなぁと思い出し、むくみを解消するためにリンパを流すセルフマッサージをしてみた。
すると顔のむくみがとれて、顔、鎖骨周り、足などがスッキリする。
友人に教えたら、そもそもリンパとは何か、リンパの場所がどこなのか、リンパの流れをよくするにはどうしたらよいのか、といったことを質問されたので、以下にまとめた。
『世界一受けたい授業』で、リンパ学会理事長の大橋俊夫先生のリンパに関する講義があったのでそれを参考にしつつ、最近の研究の論文も含めてまとめた。
目次
リンパとは
リンパとは、リンパ液、リンパ管、リンパ節の総称。人間の身体の仕組みとして、心臓から送り出された血液が血管(動脈)を通り体の末端へ行くようになっている。
血液は毛細血管に到達し、血液に含まれる栄養、水分、タンパク質などが細胞に供給される。
その際、毛細血管から液体がしみ出る。
しみ出た液体のうち、水分は主に血管(静脈)を通って心臓に戻り、それ以外の成分(免疫細胞やアルブミンなど)は主にリンパ管を通って心臓に戻る。
リンパ液とは、リンパ管の中に流れるこの液体のことをいう。体内の老廃物や余分な水分、そして、細菌やウイルスなどを回収する役割を担っている。
リンパ管は、体中にはりめぐらされている。
リンパ管の通り道には、リンパ節と呼ばれるリンパ管の集まる器官が全身に800か所ほどある。
リンパ節は、リンパ液に含まれる細菌や異物を除去する働きをしている。
頚部には300以上のリンパ節が集まっており、風邪を引いたときに首筋が腫れるのは、首(頚部)にあるリンパ節が細菌や異物を除去しようとしているため。
リンパ液の流れが悪くなると、体に様々な弊害が出てくる。
リンパ節の場所
リンパ節の場所は以下の図を参照。リンパの2つの役割
体内の老廃物の回収と運搬
リンパ液に含まれるアルブミンには吸着力があり、疲労物質をくっつけて掃除をしてくれる。
そのため、リンパの流れがよくなると、疲労物質が取り除かれる。
逆に、リンパの流れが悪いと、疲労物質が体にたまり、疲れがたまる。
疲れがたまっている人は、リンパの流れをよくすると疲労回復できる場合がある。
免疫力アップ
異物や細菌はリンパ液で回収されて、リンパ管を通りリンパ節に流れ、リンパ節で免疫細胞により処理される。
リンパの流れがよくなると、リンパに含まれる免疫細胞が体内をスムーズに流れるようになるため、免疫力が高まる。
むくみの原因とリンパの滞る原因
むくみの原因
リンパの流れが滞るとむくんでくる。
リンパは、老廃物を取り除いたり、ウイルスや細菌から体を守る働きがあり、むくみはリンパが滞ってることを体が発する危険信号となっている。
むくみを解消することで、見た目がすっきりするだけでなく、抵抗力が高まったり、疲労が回復する。
筋肉が少ない、運動不足、同じ姿勢で仕事をする、などによって、リンパがちゃんと流れず、リンパが滞りがちになる。
リンパの流れが悪くなると老廃物が蓄積してしまい、むくみや冷え、疲労の蓄積につながっていく。
リンパが滞る原因
筋肉を動かさないこと
リンパは、血液のように心臓のポンプ機能によって流れるわけではない。
筋肉が動くことで、静脈をおしてポンプのような役割を果たすことでリンパが流れるようになっている。
そのため、運動不足、立ちっぱなしなど同じ姿勢で筋肉が動かない状態が続く、筋力が弱い、といったことがあると十分にリンパを流すことができず、リンパが滞ってしまう。
冷え性
手足の冷えは血流やリンパの流れを阻害する。
体温の低下により、体液の循環に悪い影響を与えてしまうため。
ストレス
ストレスを常に感じていると、免疫力が低下し、リンパ節にリンパ液が滞ってしまう。
また、ストレスで血行が悪くなるとリンパの流れも滞る。
水分不足
水分を適切に摂らないと、いわゆる血液と同様リンパ液もドロドロの状態になり、流れが悪くなる。
むくんでいるかを確認する方法
- 脛の固いところを強くおしてあとが残るとむくんでいる。
- 靴下の跡が残っているとむくんでいる。
むくみを解消する方法
リンパの流れをよくすることで、むくみを解消することができる。リンパは心臓の方へ戻さなければならないので、リンパによるむくみを解消するためにマッサージをする際に末端から心臓に近づく方向へ行う必要がある。
全身のリンパの流れをよくする
乾布摩擦
乾布摩擦によって、リンパ液の流れがよくなり、リンパ液の量も増え、アルブミン濃度も高まり、疲労が回復したり、免疫力が高くなる。
普通、乾布摩擦は寒いところでやるが、リンパの流れをよくするには、暖かい部屋でやるとよい。
お風呂でやってもよい。お風呂では素手でやるとよい。
リンパの流れを良くする乾布摩擦のコツは以下。
- 早くやる。疲労物質が動き、取り除かれやすくなる。
- やさしくなでるようにマッサージする。強くやると逆効果。
- 以下の順序で行う(順序が大切)
- 手の甲を速くなでる
- 肘の内側まで
- 脇まで
- 次は逆の手。
- 次はおなかから胸まで
- 次は背中。タオルを斜めにして下から上へ。
ちなみにリンパ管は皮下脂肪の中に入ってるので、ぜい肉が多い人でも強くする必要はない。優しくなでた方がよい。
運動をする
デスクワークが中心、運動する時間が持てない、という場合は、1時間に1度はストレッチを行うとよい。
同じ姿勢でいないように伸びなどをするのもよい。
手足の冷えを防止する
手足の冷えを防止することで、体液の循環が悪くなるのを防ぐことができる。
水分を適度にとる
水分不足によってリンパ液が流れにくくなるのを防ぐことができる。
顔のむくみを解消するリンパマッサージ
顔は朝特にむくみやすいので、朝にやるのがオススメ。
リンパを流すことで、朝からスッキリした顔になる。
- 肩を10回まわす(鎖骨付近のリンパの流れを良くするため)。
- あごのラインから首元までゆっくりとやさしく三回さする。
- 最後は鎖骨のくぼみのとこへ戻す。
- 人差し指と中指でみみを囲み三回まわす。鎖骨の方へながす。
以下の動画で説明されているリンパマッサージは少し時間がかかるが、かなり効果的。
デートの日など、見た目を特によくしたい日は、朝に時間を作って実践することを強くオススメする。
足のむくみを解消するリンパマッサージ
- 太腿を三等分にわける。
- 足の付け根に近い方から以下を行う。
- 両手で太腿の裏側から表側に向かって三回ずつ優しくなでて足の付け根の方へ流す。
- ふくらはぎも同様に三等分にわける。
- 足の付け根に近い方から以下を行う。
- 両手でふくらはぎの裏側から表側に向かって三回ずつ優しくなでて足の付け根の方へ流す。
以下の動画を参照。
太もも 細くなるセルフリンパマッサージ スクール 村田祐子
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まとめ
リンパの流れをよくすることは、健康面だけでなく、外見でも良い効果があるので、ここで紹介したような方法で、リンパの流れをよくする習慣をつけるとよい。例えば、お風呂で実践すると習慣になりやすいので、オススメ。
参考
授業復習 | 世界一受けたい授業6月4日:脳にもリンパ管(Natureオンライン版掲載論文) | AASJホームページ
Iris health. 2010, 9, p. 27-30.
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