
- 作者: G.マイケルキャンベル,サニーベーカー,中嶋秀隆
- 出版社/メーカー: 総合法令出版
- 発売日: 2010/04/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書は、ものすごく分厚く、詳細なところまで書いてあり、とても参考になった。
このブログでは、大枠と重要だと思った点をまとめた。
プロジェクトマネジメントの全体像
プロジェクトマネジメントは、4つのフェーズにわかれる
- フェーズ1:プロジェクト定義フェーズ
- フェーズ2:プロジェクト計画フェーズ
- フェーズ3:プロジェクト実行フェーズ
- フェーズ4:プロジェクト終結フェーズ
フェーズ1:プロジェクト定義フェーズ
- プロジェクトを立ち上げる
- プロジェクト・マネジャーを決める
- 当初コンセプトを決める
- プロジェクト憲章を作成する
- 当初の方向性を決める
- 全体的目標を決める
- 方針を決める
- プロジェクトを定義する
- コンセプトを練り上げる
- スコープ(プロジェクトの範囲)を計画する
- 戦略計画と整合性をとる
- ビジネス上の意義を考える
- 機会・利益を考える
- 全体的リスクを考える
- フィージビリティスタディ(費用対効果調査、費用便益調査)を行う
- 計画フェーズについて決める
- スケジュールと予算の作成
- メンバーを選ぶ
- スケジュールと予算の作成
- プロジェクト憲章を関係者に配布
フェーズ2:プロジェクト計画フェーズ
- プロジェクトを組織し人を調達
- プロジェクト計画を策定
- スコープ定義を決定
- プロジェクト目標を決定
- プロジェクトの要求事項と仕様
- WBS(Work Breakdown Structure:作業分解図)を作る。
- 必要な作業を洗い出す
- スケジュールを作り、コストを見積もる
- 作業の依存関係を決める
- 作業の順序を決める
- スケジュールを創る
- コストを見積もる
- 資金計画を創る
- プロジェクト開始日を決める
- マイルストーンを決める
- 基準計画と評価尺度を決める
- マネジメント上の補助計画を決める
- リスクマネジメント
- 変更管理計画
- 課題解決計画
- 品質保証計画
- 組織人員計画
- 調達計画
- 監視・報告計画
- 組織の移行計画を決める
- コミュニケーション計画
- 組織変革のリーダーシップ計画
- スコープ定義を決定
- プロジェクト計画書を承認機関に提出
フェーズ3:プロジェクト実行フェーズ
- プロジェクト計画を実行
- スコープをマネジメント
- 現状を監視・報告
- プロジェクト計画をマネジメントする
- マネジメント計画を実行し、洗練する
- リスクマネジメント計画
- 品質管理計画
- 課題管理計画
- 変更管理計画
- 組織・人員計画
- 調達計画
- プロジェクト・コントロールをする
- スコープ、コスト、スケジュール、品質
- プロジェクト計画を更新する
- 教訓を盛り込む
- スコープ変更を反映する
- マネジメント計画を実行し、洗練する
- 成果物を引き渡す
- スコープの完成を検証する
- 組織移管計画を実行する
- 業務担当部門に引き渡す
- プロジェクトの完成を宣言する
- 承認機関に文書を提出する
フェーズ4:プロジェクト終結フェーズ
- プロジェクトの教訓を文章化する
- 事後の振り返り会議を設定する
- パフォーマンスに関するフィードバックを提供する
プロジェクトマネジャーは何をする必要があるか
- 計画し、実行する
- 予測可能な結果を得るために資源と技術を調整する必要がある。
- 計画フェーズ:目標の設定、作業の分解、作業順序の図示、スケジュールの作成、予算の作成
- 実行フェーズ:チーム内の調整、報告、コミュニケーションなどを行う
- プロジェクトの終着点に焦点を絞る
- 常に最終成果を念頭におけば、プロジェクトが途中で立ち往生するケースは減少する。明確なビジョンがあれば、困難な時期も乗り越えられる。
- マネージャーとしての役割
- 活力にあふれる前向きな姿勢でプロジェクトを指揮すること
- 動機付け、権限委譲、相談にのる、コーチ役など
- リーダーとしての役割
- 対人関係の役割
- チーム内のもめごとを解決し、チームの一体感を作り出す
- プロジェクトの目標達成に向けて、各マイルストーンを達成するよう、チームの作業の焦点を絞り、動機づける
- ステークホルダーと良い関係を構築する
- 意思決定に最しては、他人の意見を注意して聞く
- 情報提供の役割
- チーム会議を招集し、議事を進行させる
- 他の人達の作業スケジュールを作成・更新する
- プロジェクト・ビジョンを経営陣に伝える
- 成果や品質、成果物についてフィードバックを与える
- 意思決定の役割
- スケジュールが遅れたとき、資源を再配分する
- コスト、時間、成果のバランスをとる
- スコープ・クリープ(プロジェクトに作業を少しずつ追加することにより、スケジュールやコストなどの当初の見積が全く無意味となってしまうこと)や予算のオーバーを防ぐ
- 対人関係の役割
有能なプロジェクトマネジャーに必要な7つの資質
成功するプロジェクトマネジャーは経験を積むにつれ、7つの資質を身につける
- プロジェクトへの情熱
- 情熱がメンバーに浸透し、意識を高める
- 世の中は情熱とやる気のあるリーダーのものになるだろう。なみなみならぬエネルギーにあふれ、自分が指導する人に活力を与えられるリーダーだ。(ジャック・ウェルチ)
- 変更管理の能力
- プロジェクトには変更がつきもの。変更管理の手法を身につけなければならない。
- 曖昧さへの耐性
- 役割の曖昧さや例外事項を適切に処理しなければならない。権限がすべて明確で、しかも計画が固定不変でなければやれないのでは、プロジェクトマネジャーとして長続きしない。
- チーム育成と交渉のスキル
- 経営陣、顧客、チームメンバー、サプライヤーなど多様なステークホルダーを連携させる必要がある。
- 顧客第一の志向
- 顧客の見方を理解し、顧客の満足を得る。成功の評価尺度は、つまるところ、成果に対する顧客の満足。
- ビジネスの優先課題の堅持
- 優先すべきことを見失ってはならない。
- 業界と技術の知識
- 例えばソフトウェアプロジェクトならプログラミングの経験が必要。しかし、専門家である必要はない。
プロジェクトマネジメントに必要な9つの知識
- プロジェクトマネジャーは、以下をマネジメントすることを期待されている
- 時間
- 時間は、プロジェクト推進の原動力になる。また、時間延長はコスト増加につながる。マイルストーンを設定すると良い。ただし、顧客によっては時間よりも品質を何よりも重視することもある。
- コスト
- プロジェクトにいくらかかっているかは常に聞かれる。
- スコープ
- プロジェクトに何が含まれ何が含まれないかを明確にする必要がある。これがないと、プロジェクトにはコントロールを失い、当初の規模より拡大したり複雑化したりする。
- 成果物の品質
- 品質目標を決定し、どのようにして達成するかを計画する。品質管理体制をチェックし、品質基準に合致すること、差異の特定と是正がなされていることを確認。
- 時間
- プロジェクトを効果的にマネジメントするには、以下をマネジメントする必要がある。
- リスク
- プロジェクトにうまくいかないことがあるとすれば何なのかを想定し、それを予防する戦略と、発生した場合のマイナスの影響を軽減する戦略を準備する。
- 人員
- 人員を調達したり、チームを育成したり。
- コミュニケーション
- コミュニケーションがまずければ、プロジェクトはたいてい失敗する。PMIによれば、プロジェクトマネジャーの時間の89%は会議やEメール、進捗報告など種々のコミュニケーションに割かれる。
- 調達
- 社外からのサービスや商品を調達して活用する必要がある場合がある。
- リスク
- プロジェクトマネジャーとして成功するには、上記すべてを統合することが必要である
感想
今会社で全社が関わる大規模なプロジェクトが始まろうとしていて、これを成功させるためにどうすればいいか、というのがよくわかっていない。
この規模の開発を会社で経験したことがある人がたぶんいないので、試行錯誤を繰り返しながらやることになると思う。この本に書いてあることをベースに実践していって、実践によって得られた知恵をまとめていき、大規模プロジェクトのノウハウを構築できればいいなと思う。




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