仕事でより高い成果をだすためにはどうすればいいのか?
仕事では、問題解決力が大切と言われている。問題解決には2種類ある。
1つは問題が発生してから解決する力、もう1つは問題が発生する前に先読みして解決しておく力。
今回、問題が発生する前に先読みして解決する力に焦点を当てた、「先読み力」で人を動かす ~リーダーのためのプロアクティブ・マネジメント~を読み、かなり多くの発見があったので紹介。

「先読み力」で人を動かす ~リーダーのためのプロアクティブ・マネジメント~
- 作者: 村中剛志
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2008/03/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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目次
序 章 先読み力ってなに? 第1章 あなたの先読み力を知る 第2章 先読み力を鍛えるタイムマネジメント 第3章 メンバーが躍動するチームマネジメント 第4章 成果を生み出すミーティングはこうつくる 第5章 チーム関係者を巻き込み成功に導く 終 章 リーダーに必要な三つのこころ
概要
「『問題発見』や『問題解決』の方法は知ってる。なのに、思ったように成果を出せないのはなぜ?」そんな疑問にこたえるのが本書。
成果を出すには、ツール・手法だけでなくマインドも大切。どちらが欠けても仕事をうまくまわすことはできない。本書は、ツール・手法とマインドを橋渡ししてくれる。
たとえば、
- 「あなたが1時間に出すべき価値はいくらか?」
- 「時間管理は徹底的に実績(アウトプット)にこだわる」
- 「指示待ち人間ゼロのチームのつくり方」
- 「漂流ミーティングはホワイトボードで『見える化』する」
など、「誰にでもできる」ノウハウが凝縮されている。
ノウハウと精神面の両方を自分のものにすれば、圧倒的なアウトプット(成果)を生み出すことができるし、成長も加速できる。
リーダーに必要な、チームや個人の成長も実現する「先読み力」の極意を学べる良書だと思う。
※今日から使えるツールフォーマット・ダウンロード特典もついている。
ポイント
成果をあげるために大切なこと
高速化しているビジネスシーンにおいて、「問題」への対応力をいくら磨いても、それでは決定的に遅い。
必要なのは、「問題」が起きる前の解決力を磨き、問題を発生させないようにすること。
先読み力を磨いて、プロアクティブな行動を増やし、リアクティブな行動を減らせば、問題が激減し、成果を高められる。
- 「先読み力」
- 起こりうる問題(出来事)を事前に推測・発見する力。
- 「プロアクティブ」
- 推測にもとづいて先手で1歩先に行動すること。
- 「リアクティブ」
- 先読みできず、問題が起こってしまってから後手で行動すること。
- 先読み力を鍛えるため、仮説を実行し検証していけば、成長を加速できる。
- 仮説が正しければ適切に先読みできたということで、成長したことになる。
- 仮説が間違っていれば、新たな仮説を立てることで、失敗したプロセスから成長することが出来る。
先読み力のある人の行動3ステップ
- 認知(問題の芽を認知、発見する)
- タスク化(対応策をタスク化する)
- 実行(対応策を行うことで問題を事前回避)
さらに実行の結果を踏まえて、次に新しい視点から先読み(認知)することもできる。
後手に廻る人は、この3ステップのどこかができていない。
「先読み力」で無理・ムダなく推測し、「プロアクティブ」に行動すれば、常識はずれの残業時間、不要なトラブルに巻き込まれなくなり、より成果を生み出すための仕事に力を投入することができる。結果、思い通りにビジネスをリードすることができる。
プロアクティブに行動することのメリット
- 自分のために投資する時間を確保できる
- 目標を短期間で達成できる
- 早いスピードで成長できる
支持されたことをただやるのではなく、余分な時間をかけてでも、自分の意見を先にまとめ(仮説)、上司やリーダーの意見とぶつける(結果)。そして、修正されれば(検証)、上司やリーダーの考え方、判断基準を知ることができる。起きうる出来事を予測し、準備し行動することで、成長の機会が早く得られる。
先読み力を知る3つのものさし
仕事で関わるすべての人達をリードしているか?
リーダーは、自分がこっちだと信じる方向に舵をきり、進む方向に何があるかを先読みしながら、全ての関係者を連れて目指すゴールに到達することが求められる。
出来る人の5段階
- レベル1:報告のみを行い対応を観察する
- レベル2:アドバイスをもらい、解決する
- レベル3:解決の選択肢を提示する
- レベル4:解決の選択肢とベストの案を提示する
- レベル5:選択肢を判断して実行し、結果を報告する
自分がどのレベルにいるかをきちんと認識する必要がある。
レベル1の人が勝手に判断すると、トラブルにつながり、皆に迷惑をかけてしまう。
リーダーは、チームのメンバーそれぞれがどの位置にいるのかを把握し、次のレベルにすすめるようにサポートをしていく必要がある。
時間価値を意識する
自分は給料に見合うだけの仕事をしているか?相手の時間価値も意識して仕事をしているか?を考える必要がある。
自分の時間価値だけではなく、メンバー、周りの関係者の時間価値も意識する。
先読み力を鍛える方法
個人のタイムマネジメント
前倒しでできることはすべてこなせばよい
予定を認知し、タスク化し、それを実行する流れを作るように意識し、プロアクティブに行動する。
- ツール:3週間スケジュールとTOP5
- 手法:予定と実績の記入、なぜ&どうすればで評価
誰でもタイムマネジメントができるようになる方法
- 先読みして予定を立てる。それにより、先読み力が鍛えられる。
- 予定と実績の比較で成長できる
- タイムマネジメントの本質は、タスク実行により成果を出すこと
- タスクリストで成果を確実なものにできる。
- 一日のスケジュール
- スケジュール欄を左右2つにわけ、毎朝、その日1日のわかっているスケジュールを左側に記載。
- 午前中は、可能な限り、90分の枠で集中して行う仕事を入れる
- MTGに出る場合、アジェンダの確認、考えをまとめる、などの時間も確保しておく。
- メールは一日3回(朝一、午後一、夕方)と決めておく。朝は重要なメールだけ処理。
- リーダーは、メンバーの報連相の時間、突発的な問題に対応する余力を残しておく必要がある。
- 右側に実績を記載
- 実績は、自分の投入した時間に対しての仕事の成果であり、きっちり把握しておく。
- 1日数回(昼食前、昼過ぎ、帰る前にわけて書くとよい)
- 実績を書くことで、自分の仕事の成果に対する認識が高まる
- 先延ばしにした仕事は青で印、予定せずに実行した仕事に対しては赤で印。
- 先延ばしは、優先順位を見誤った結果。
- 予定せずに実行した仕事は、時間内に終わらなかったもの(点線で印)か、想定外の仕事(実線で印)にわけられる。
- 時間内に終わらなかった場合、なぜできなかったのか、どうすればできたのかを突き詰めて考え、仮説を立て、実践し、検証する。
- 想定外の仕事に関しては、本当に想定できなかったかを考える。
- なぜ、どうすればを繰り返し考えることで、先読みする力が鍛えられる。
- 実績がプロアクティブだったら青丸、リアクティブだったら赤丸をつける。
- リーダーは、50%以上のプロアクティブを目指す。
- スケジュール欄を左右2つにわけ、毎朝、その日1日のわかっているスケジュールを左側に記載。
- 1週間のスケジュール
- 日曜日の夜に2〜3時間かけて計画を立てる。金曜日の夜は、なかなか時間がとれないから。
- 3週間のスケジュール
- 認知 → タスク化 → 実行 の3ステップを踏みやすいから3週間単位にする。
- 翌週以降の2週間に関しては、一日単位で、重要なMTGや仕事の締め切りなど大きなイベントを記入する。
- 手書きの効用
- パソコンはスピードという観点からは効率的だが、記憶という観点では非効率。記憶のためには手書きで書く方が効率が良い。
- タスクリストのクオリティは、タスクを抜けもれなく網羅できるかで決まる。
- クオリティの高いタスクリストを作成する方法
- 人、モノ、金、情報、時間などの軸で考えてみる。時間を基本の軸にして、それ以外を組み合わせる。
- 優先順位
- 緊急度と重要度で考える。
- 緊急なものに追われる人はリアクティブな人。プロアクティブになるためには、先読みし、重要だが緊急ではないタスクに取り組む必要がある。そうすることで、緊急になる前に対処し、緊急の仕事を減らし、重要かつ緊急ではないことに時間を使えるという好循環を生み出せる。
- カラーボールペンのメリット
- 視覚に訴えられるので一目瞭然になる
- 色分けを意識するので優先順位を管理しやすくなる
チームマネジメント
- チームマネジメントの本質は、きっちりタスク管理をしていくこと
- ツール:3週間スケジュールとTOP5
- TOP5:各メンバーが、その週に実施する予定の仕事のうち、優先順位ベスト5のタスクリスト。今週の予定、先週の実績、先週の予定と実績の差を見て、なぜ予定通りではないのか&どうすれば予定通りにできたのかを考える。メンバーのなぜ&どうしてが不十分な場合、なぜ&どうすればの質問をして質を高めるサポートをする。
- 手法:予定と実績の記入、なぜ&どうすればで評価
- 3週間スケジュールの効用
- メンバーが、認知→タスク化→実行のステップを踏めるようになり、プロアクティブな行動をとれるようになる。
- TOP5の効用
- リーダーとメンバーの優先順位のギャップを埋めることができる。
- チーム内で、タスクのダブリ、もれを早く発見できる。
- 予定と実績の評価で、メンバーの分析力、解決力、対応力などのレベルを把握できる。
- 忙しいメンバーと余裕があるメンバーが明確になり、メンバーの作業量を調整、全体最適できる。
- チームマニフェストを作成する
- リーダーが大枠のドラフト版マニフェスト作成
- メンバーがドラフトをベースに自分のマニフェストを作成
- リーダーがとりまとめ、完成
- 完成版を関係者に送付
- 例
◆お客様との信頼関係の確立 ・お客様と1日1回は会話する ・ホウレンソウの徹底 ・ツーウェイコミュニケーション ◆チーム力を発揮 ・情報の共有を徹底する ・常に全体を見渡す ◆効率的なプロジェクト推進 ・一歩先を考えた計画、実行 ・履歴を残す(議事録、更新履歴など) ・レビューの徹底、手順の明確化 ◆個人の成長 ・英語の勉強 ・残業をしないようにして勉強の時間を確保 ◆最後に ・笑顔で成功に導く ・周りに迷惑をかけないように体調管理の徹底
- 楽しくない仕事でもゲームにすれば楽しめる。
MTGについて
MTGの目的
- 情報収集:新しい意思決定のための情報収集
- 情報共有化:共通の目的・価値観の形成
- 意思決定:問題解決のMTG
- 説得:グループのメンバーを説得する
- 調整:現状のシステムを一部修正
- ブレスト:既存の概念に束縛されない情報収集
MTGに参加する理由
- プロアクティブな理由
- 情報を提供
- 決定権限を持っている
- 決定に影響を与えられる
- リアクティブな理由
- 情報を収集する
- 報告を受ける
- リアクティブな理由だったら、MTGに参加せず議事録を読めば十分。
MTGのクオリティを高める
- MTGのクオリティは、事前準備によってほぼ決まる
- 事前に考えるべきこと
- ゴール、アジェンダ、資料作成
- MTGのカテゴリ(情報収集、共有、意思決定、説得、調整、ブレスト)
- 参加者
- 場所・道具
- 決まりうる結論(結論まで仮説を立てる)
- 発生しうるアクション
- 議事録作成の有無
- 次のMTG
- 結論まで仮説を立てることのメリット
- MTGのゴールを自分の頭で整理できる
- 相手の反応を予測でき、次の一手が打ちやすくなる
- アジェンダを送ることで、相手の準備不足を解消できる
- MTGをリードする人がやるべき一番重要なことは、目的やゴールを明確にし、それを意識し続けること
- MTGの初めに、全員が見えるところに、目的、ゴール、アジェンダを書きだしておく。
- 何を誰がいつまでにを全ての決定事項に対して明確にすると、MTGのクオリティは劇的に上がる
相手に理解してもらいやすい話し方
- 間違ってても分かりやすい説明をする
- Aです。実はBなんですが。Bが正確な答。Aは、Bに近いもので相手になじみのあるもの。
- Bが相手になじみのない場合は、Aを答えてBを言う。
- 外人にどこに住んでるか聞かれた場合、埼玉ですと言っても分からないので、東京です。と言って相手の反応を待ち、必要があれば、厳密には東京の北にある埼玉なんです、と答える。
- 全体の枠組みを相手の頭の中につくる
- 完了の基準を伝える。
- 完了までのステップを伝える。
- 現時点での達成度を伝える。
- 伝え方に関しては、http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1005/08/news002.htmlこの記事も参考になる。
- 子供でも分かるを意識
- むやみに横文字を使わない。説明がうまい専門家ほど、専門用語を使わないもの。
- 日常にありそうな例え話を入れる
- クラウドとは、レンタカーのようなものです。必要な時に借りて、必要なだけ使い、その分のお金を払う。
- 専門用語を最後に添える。
お客様と良好な関係を築く
- まずは自分がお客様に認められる
- お客様がお客様の社内で成功する(昇進など)ように行動する
リーダーの心得
テクニックだけで人は動かせるものではない。
精神面(マインド)の充実もあってはじめてビジネスがうまく回せる。
- リーダーとして忘れてはならない精神である三つのこころ、
- 「リードするこころ」
- 進む方向を示して1+1を2よりも大きくする。全員のベクトルを合わせる。
- シンプルに伝え、自分らしさ(強み)を活かし、進む方向を示す。
- 「援助するこころ」
- チームとして成果を出すには、メンバーにうまくお願いすることが大切
- メンバーの立場で考えると、いつも忙しく仕事をしているリーダーよりも、仕事を任せてくれ、仮に問題が発生しても必ず助けてくれるリーダーの方が頼れる
- バッファを持って仕事をすることが大切
- 忙しそうにしていたり、相談した時の対応が悪いと、相談しずらくなるので、相談しやすい環境、雰囲気を作ることが大切
- 何でも相談され、メンバーが自分で考えなくなることは避ける。そのためには、相談された時、本人はどう考えているかを聞くようにする。
- 「感謝するこころ」
- 相手の立場を理解してコミュニケーションがとれる器の大きい人になる。
- やらせるのではなく、お願いする。
- 進みが遅かったとしても、正しい方向に進んでくれていることに感謝する
- 「リードするこころ」
プロアクティブとは、できる人に共通する考え方、心構え、スタイル、姿勢である。
感想
非常に参考になる部分が多く、実践にいかせる内容。残業が多いので、プロアクティブを意識し、生産性を高めていきたい。