久保清隆のブログ

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【凄い】ポールスミスのインスピレーション、その独特な発想法

2015年10月5日、早稲田大学大隈記念講堂で、ファッションデザイナー、ポール・スミスさんが「インスピレーション」をどのようにして得ているのか、その発想法に関する
講演を聞いてきたので、まとめた。
 
講演にはものすごい人が来ていて、入れなかった人もたくさんいたが、ポール・スミスさんは外に人がたくさん並んでるのを見て、
「2回やる」
と決めたらしい。
すごくおちゃめでユーモアあふれる、いい人だった。
 
 
 
話されていた内容は大きく3つ。とてもいい話だった。
 
  • バランスの重要性
  • 観察眼の磨き方 - どのように幅広く目を向けるか
  • どのように独自性を出していくか - キャリアへの活かし方

 

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バランスの重要性

ポールスミスさんは、10代のとき自転車のレーサーになるのが夢だったが、17歳のときに大きな事故にあって骨折した。
でも、災い転じて福となるという点が大事。
そのおかげで想像力あふれる世界に飛び込むことができた。
 
最初は地元のブティックで仕事を始めた。その当時の経験が今に大きくいきている。
集中して学んでいる時期だった。お店のドアを開けて店内をきれいにしておいたり、色々なことを吸収できた。
 
ポールスミスさんがおすすめするのは、将来的にキャリアを積んでおきたい領域があれば、その領域で経験を積み上げていくこと
 
3年間ショップの店員をしたのち、ポールスミスさんの奥様になった女性との出会いがあった。
彼女はデザインを本格的に学んでいて、ファッションをポールスミスさんに教えてくれた。
 
ポールスミスさんは6年間店員をしたあと、少しの貯金で、小さな自分だけの店を開いた。小さなお店は、とことん自分のこだわりだけがつまったお店だった。
 
ここからが大事な部分。
夢があるとする。でも夢がある一方で現実も見ないといけない。
家賃を払ったり食べたり、生きていく必要がある。
 
ポールスミスさんは、夢を追求するために、こだわりの店舗は金曜、土曜に限定。
そのかわりこだわりを貫き、好きなものだけを売る。
そして、残りの月火水木は生計をたてるために現実と向き合った。
純粋に夢を追い求めることと生きていくこと、このバランスが大切。
 
その後、ようやく第一回のコレクションにこぎつけた。
デザインは奥様が行なった。
そして、ポールスミスさんもデザインをする自信を得ていった。
 
パリで初めてのショーにこぎつけた。
でも、月、火、水と誰も来てくれなかった。
木曜にやっと1人来てくれた。
そしてポールスミスの船出となった。
 
このようなちっぽけなスタートでも、
そののちに成功にこぎつけ、夢を叶えることができている。
 
この経験から次の5つが重要だと学んだ。
ファッションだけでなくどのような職業にもあてはまる。
  • design
  • communication
  • individualism
  • personality
  • quality
 
デザインはもちろん創造性が大切。
 
コミュニケーション能力もきわめて大切。
どうやって自分の意思を伝えるか、どうやって人に考えを伝えるか、どのように自分を見せるか、身振り手振り、そういったものも含めてコミュニケーション能力は大切。
 
個性も大切。
 
そして、おそらく一番大切になってくるのは独自性。
これだけ多くのファッションデザイナーやショップなどがひしめくなかでは、独自性が極めて大切。
これから就職や起業するとき、自分の独自性を必ず振り返ったほうがよい。
 
独自性を出す方法
独自性を出す1つのやり方として、ありきたりの道を歩まないことがある
常に自分に問いかける。
何でそれをやりたいの、どうしてそれができないの、これからどうなるか。
規則をやぶるためのゆとりを持つことが大切。
 
you can't do it without doing it.
15歳から仕事をしてきて、ありとあらゆる様々な可能性にチャレンジした。
色々な経験をしたことで自信を持つことができた。
色々な経験を積むことは視野を広げる
 
do things that are right, not which are easy.
正しいと思うことをやる、楽なことをやっているだけではダメ
依頼を受けたとき、立ち止まって考える。これをやるのは正しいことか。
もう1つ大事なこととしては、思い込みは厳禁ということ。
必ずチェックする。これは正しいのか、と。
 
 

観察眼の磨き方 - どのように幅広く目を向けるか

you can't find inspiration in everything.
if you can't, then you are not looking property. 
ふと立ち止まって周りを見渡す余裕を持つようにする。
特に想像力を要する世界で活躍したいなら、そのことを忘れない。
例えばこの会場の色彩、緑とグレーを合わせてニットに応用できるかもしれない。
ただ単に見るというだけでなく、じっくり眺める。
観察眼を持つ。養う。
 
インスピレーションは以下から得ている。
  • art
  • music architecture
  • travel
  • humour
 最もよいのは旅。
ネットや本でも得られるが、旅は本当に大事。
  
例えばインドに行ったとする。
女性が着ている美しい衣装の色彩。
シャツにもパンツのデザインにも応用できる。
 
こうしたものから常にインスピレーションを得ることができている。
インテリアデザインであれ、グラフィックデザインであれ、ありとあらゆるものからインスピレーションが得られる
  
教会の色彩から、シャツを作ったこともある。
グアテマラの写真(これは本で見た)からも。
伝統的な衣装の生地に惹かれた。模様と色彩の組み合わせにも惹かれた。これは、生地のインスピレーションのヒントになった。
ネクタイ、Tシャツ、靴下にも使える。これを使ってワンシーズンのデザインにしたこともある。
 
切手の集まりからインスピレーションを得て、生地に使ったこともある。
模様をみて、そこから創造する。

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海の写真をプリントしてシャツにしたこともある。
 
花模様を短冊上に切って抽象的にずらして、それをスカートのデザインにしたこともある。
 
とにかく自分の目を駆使して見たものを、様々なものに使う。
じっくり目を凝らして見て、それを元に考えること。
そして時間をあけて正しいことをしているか振り返る。
安易な方に流れていないかを考える。
 
今はパソコンでなんでも使える。
パソコンでやると、パソコンの性能に頼る必要がある。
今はテクノロジーが発達して便利になったが、ときには手作業も組み合わせるとよい。手作業でしか出せないデザインもある。
テクノロジーと手作業のバランスも大切。
 
また、大切にしたいと思っているのは色彩。
色彩は人を幸せにできる道具だと思っている
封筒であれカーテンであれ、色彩はあらゆるものに応用できる。
ポールスミスさんの場合は服に活かしている。
 
色彩のアイデアはあらゆるものから得られる。
雑誌からも。
とにかく目を凝らすこと、それが大事。
 
色彩の天才アンリマティスの有名な作品かたつむり。

マティス・かたつむり(シルクスクリーン刷・絵画)

 
よく目を凝らすとかたつむりをみてとれる。
色の組み合わせからインスピレーションを得られた。
白と紫の組み合わせが新鮮に見える。
オレンジと赤の組み合わせ、非常に強い色彩同士。
色によって強い組み合わせ、優しい組み合わせができる。
似通った強い色彩同士の組み合わせは、強力なインパクトを与える。
 
シンプルなデザインであっても色を置き換えることで、印象を変えることができる
 
美術作品からもインスピレーションを得られる。
 
 

どのように独自性を出していくか - キャリアへの活かし方

ポール・スミスさんがビジネスを始めた頃のファッション業界は、競合はいたが今のようにひしめいている状態ではなかった。
だから成功をおさめるのもさほど難しくなくビジネスを展開できた。
 
将来のキャリアをどうやって掴み取るか。
昔と比べ、会社、店舗が増えてきたが、市場の大きさは変わらない。
だから、いかに自分の独自性を打ち出すことができるかが重要になってきている。
どうやって差別化をはかるか、どうやってアピールするか、それが大切になる。
 
幅広く目を凝らすことの大切さについて
多角的な視野を持つ。たまには横にも目を凝らす。
ありきたりのもの、直接的なものだけではなく、幅広く見ることが大切。
もしこれをやったらどうなるか、という思考回路を持つことで、新たな斬新なアイデアを得たり行動することができる。
 
努力できるということ
努力をするのにお金はかからない。
内面から溢れてくるものによって、より強く、より前向きになれる。
 
ロンドンでは、装飾もないお店にはお客さんはあまり来ない。
装飾していいるお店は、いつも人で賑わっている。
その努力をしているから。
手の込んだ店構えとシンプルな店構えで差が出てくる。
 
内部からさらにもう一押しという工夫や努力があれば、みなさんの将来のキャリアも素晴らしくなると思う。
 
 
too much choice.
世の中、ありとあらゆるもので溢れている。
 
会場にいるみなさん一人一人がショップのオーナーだと想像してほしい。
果物・野菜屋さんで、同じ通りにお店を構えているとする。
その中でどうやって独自性を出すかを考えてみて欲しい。
 
例えば、雑然と商品が並んでいるお店と、整然と商品が並んでいるお店。
2つの全く異なる取り組み。
 
どれだけ工夫をこらせるか、色々な観点から物事を考えていく。
 
工夫がこらされていると、目を惹かれる。
そのような努力をぜひ惜しまないようにしてほしい。
 
もしウィンドウのディスプレイが変わっていて個性的だったら、ただのマネキンがあるだけじゃなかったら、お客さんはパッと目を光らせてお店に入ってくれるかもしれない。
 
工夫すること、努力を惜しまないこと、人と違うことをするだけの個性を持っていること、そうすれば、成功につながるかもしれない。
個性を全面に出すこと、いかに独自性を打ち出すか、そういう努力をすれば、成功に繋がると思う。
 
最近は、どの雑誌も同じデザインに見える。
昔のFortune、Vogueなどは、モダンに感じる素晴らしいデザインのものがある。

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ファッション関係やグラフィックデザインに関わる方はぜひこの名前を覚えておくとよい。彼は素晴らしいアートディレクター。
人と本当に違う視点を持って考えることができる思考回路を持っている人。
写真の上にさらに色を重ねて絵を描いていくという手法を始めて取った人。
 
erwin blumenfeld
彼も覚えておくとよい。
写真家。20世紀で最も影響力のある写真家の1人。
これらの作品には、今日ポールスミスさんがお伝えしたいことがぎっしりつまっている。
とにかく工夫する努力を惜しまないことが大事。
 
 

まとめ

  • 夢を追うことと現実を生きることのバランスをとること。
  • あらゆるものからインスピレーションを得られるので、目を凝らして幅広くみること。
  • 独自性を発揮するために、工夫する努力を惜しまないこと。

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