よく聞くけど、ぼんやりとしていて分かりづらいクラウドという言葉について、調べてわかりやすくまとめた。
クラウドには2つある。
「クラウド(crowd)・ソーシング」と「クラウド(cloud)・コンピューティング」の2つがある。
2007年は、クラウド・ソーシングが流行した。
そして、2009年以降は、クラウド・コンピューティングが話題となった。一般的に「クラウド」というと「クラウドコンピューティング」を指す。
カタカナだと同じに聞こえるが、英語で言うと明確に違いがわかる。
クラウド・ソーシングの「クラウド(crowd)」が「群衆」や「集合知」を意味するのに対して、クラウド・コンピューティングの「クラウド(cloud)」は、「雲」を意味し、インターネット上にある、データの所在を意識しない領域というニュアンスを持っている。
クラウドコンピューティング
- クラウドコンピューティングとは、データやソフトウェアの所在を意識することなく、いわゆるインターネット上のサーバ、すなわち「クラウド(雲)」の中に移し、必要に応じて取り出す。
- クラウド・コンピューティングと呼ばれるサービスには、以下のようなものがある。
- 無料のものと有料のものがある。有料な場合は、使った分だけ料金を払うという形態。
- SaaS(Software as a Service。サービスとしてのソフトウェア。)に似た概念だが、雲の向こう側は必ずしも1社ではなく、かつユーザーはその先をあまり意識しない点が新しい。
- その「雲」の中心になろうとしているのが、Salesforce.com、amazon、Googleなど。「雲」は、コンピュータ業界の「電力会社」によく喩えられる。電力会社は何社もいらないので、一部の企業間における競争のみ。「群衆(crowd)」とは正反対の寡占者。
クラウドコンピューティングサービスの条件
Burton Groupのアナリスト、クリス・ハッダード氏によると、クラウドコンピューティングサービスとは、以下の四条件を満たすものである。
具体例
クラウドには主に以下の3つの形態がある。
- SaaS(Software as a Service)。パッケージソフトのネットワークサービス。
- PaaS(Platform as a Service)。プラットフォームのネットワークサービス。
- IaaS(Infrastructure as a Service)。インフラのネットワークサービス。
詳細は下表を参照。
SaaS | PaaS | IaaS | |
---|---|---|---|
対応プロバイダ | salesforce.com,Google Apps | Google App Engine | AmazonEC2, AmazonS3 |
アプリ | ○ | ||
DB | ○ | ○ | |
ミドル | ○ | ○ | |
管理ソフト | △ | △ | △ |
監視ソフト | △ | △ | △ |
OS | ○ | ○ | ○ |
分散化 | ○ | ○ | ○ |
冗長化 | ○ | ○ | ○ |
ハード | ○ | ○ | ○ |
通信インフラ | ○ | ○ | ○ |
○はサポート、△は不明。
- Amazon:Amazon Web Services(AWS)
- EC2/S3という名称で、仮想マシン/データストレージの時間貸しを行うクラウドコンピューティングサービスを提供。現在、サービス規模を拡大中。
- Google:Google App Engine(GAE)
- WebアプリケーションプラットフォームサービスであるGoogle App Engine(GAE)を2008年5月から一般向けに提供。
クラウドの問題点
- クラウドコンピューティングは、その意味が知られていなかったり、定義が一致していないという理由で人々を混乱させている。
- 新技術を「クラウドコンピューティング」の名の下に同化させても、そのカテゴリー内の古いものが新しくなるわけではない。また、技術系の人と非技術系の人とのコミュニケーションを「曇らせ」てしまう。
- セキュリティ
- 基本的にはすべてのデータがクラウドに集約されるため、クラウド提供側やネットワークの障害や、あるいはクラウド提供側の倒産やサービス終了などでクラウドのサービスが使用できなくなると、クラウドコンピューティングを利用する企業の経営も停止する恐れがある
- 海外にあるサーバで管理されている場合、情報が流出した際、法律で保護されない可能性もある。
- 2011年4月29日には、アマゾンEC2サービスで、大規模な障害が起きた(Amazon、EC2の大規模障害について正式に謝罪 10日分のサービスクレジットを提供 - ITmedia ニュース)
- 制限事項がある。
- リソースアクセス、データベースアクセス、レスポンスタイム、ファイル出力などに制限があり、若干利用しづらいことがある。詳しくは各サービスを参照。
などの問題を抱えている。そのため、大企業ではなかなか導入に踏み切れていない。
個人や中小企業などにとっては比較的利用しやすい。
クラウドコンピューティングについてより詳しく知るには以下の書籍・記事を参照。
参考書籍・記事
- 作者: 小林祐一郎,できるシリーズ編集部
- 出版社/メーカー: インプレスジャパン
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図が豊富で、非常にわかりやすく書かれている。
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各界第一線の執筆者が書いた、クラウドを広く深く知るための一冊。
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まとまりはないけど、内容はなかなか。
- 記者の眼 - 調べれば調べるほど分からなくなる「クラウド」:ITpro
- クラウドコンピューティングについて、開発現場における視点を理解する
- システム構築の新標準:プライベートクラウド構築に向けて――踏むべき手順と外せない要点 (1/2) - ITmedia エンタープライズ
- プライベートクラウド構築の三ステップ
- ステップ1――リソースの統合と共有
- ステップ2――構築/運用プロセスの標準化
- ステップ3――構築/運用プロセスの自動化
- プライベートクラウド構築の三ステップ
クラウドソーシング
クラウド・ソーシングとは、企業などがインターネットを通じて、クラウド(群衆)に対してアウトソーシング(外注)すること。
アウトソーシングが、社外の専門の業者に業務を委託するのに対し、クラウドソーシングは、開かれたコミュニティにおいて一般の群衆(クラウド)が協力して行なう。
米国 Wired 誌の寄稿編集者、Jeff Howe 氏が最初に言い始めた。企業がネットをうまく活用することで群集の知恵を集約し、問題を解決したり、付加価値を創造したりする方法を「クラウド・ソーシング」と名づけた。
例としては、広く世界の研究者に課題を提示して、解決策を募集するコミュニティサイト「Innocentive」などの事例をあげている。
また、ソフトウェア開発では、オープンソースという形でソースコードを公開し、誰でも開発できるようになっているが、このように広く人々の知恵を借りながら共創するアプローチを、多くの分野に拡げたコンセプトも「クラウドソーシング」であるといえる。
いまやクラウドソーシングは、市場調査、研究開発、商品開発、販売促進、カスタマーサポートなど、企業のあらゆるマーケティング活動において活用されており、その成果や成功事例も数多く見られる。
クラウドソーシングは、比較的オープンな人的ネットワークに仕事や課題を「発注」「募集」「問い掛け」することで、適切なレベルの知的労働力(コンテンツや知恵)を相対的に安い価格で調達する方法として注目されている。
参考記事
情報システム用語事典:クラウドソーシング(くらうどそーしんぐん) - ITmedia エンタープライズ
- クラウドコンピューティングの概要とクラウドソーシングの可能性について
http://japan.internet.com/wmnews/20090302/8.html?rss
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