先日、宣伝会議のコピーライター養成講座の特別体験講座を受けてきた。
そのまとめ。
目次
- 言葉で世の中を動かそう コピーライターへの道
- 宣伝会議のコピーライター養成講座の宣伝
- コピーライターにはどうすればなれるか・・・その決心と、努力
- コピーライターのためのコラム
- 感想
- 参考書籍
- 最近書いたまとめ記事
言葉で世の中を動かそう コピーライターへの道
講師は、理論派コピーライターの谷山雅計氏。
まず最初に課題が出された。
課題
『古本屋を若者にもっと利用してもらうためにキャッチフレーズを書いてください』
15分で3つ書くように言われた。
全員分を回収し、30分後谷山さんが戻ってきた。
解説
なぜこの課題を出したか。それは考えやすいから。
古本屋は不人気。あまり使ってくれない。それはハードルがあるから。
そのハードルはどんなハードルでどうやったらそのハードルを越えられるか。
こう考えていくと、コピーを考えるきっかけはつかみやすい。
逆に、今人気のものをもっと人気にするコピーを考えるのは難しい。
- 広告コピーの定義
- 広告コピーとは人を動かすため、モノを動かすためのコトバである。
- 笑わせる、驚かせるのは人を動かすための手段。
- 人を動かす意志を持った言葉が広告コピー。
- よくない例
- 言葉遊び系
- 心くすぐります。コショ、コショ。
- 心を満たすFULL本屋
- これらの何がダメなのかというと、意志が感じられないこと。楽しませようとはしているが、それだけでは人を動かすことはできない。ただし、音楽とかを使って連呼したり、分析した上で言葉遊びで考えたものはうまくいくこともある。
- 描写しているだけ
- セピア色の本
- OLD IS BEAUTIFUL
- これらは描写しているだけのコピー。誰でも知っていることを言ってるだけ。こういうことは皆知っているけど、それで古本屋に行ってない。だからこういう言葉をコピーにしても人は動かせない。コピーとは描写じゃない。解決である。広告を出す前と、広告を出した後で、古本屋の見え方が変わったかどうかをチェックする。
- ウソが入っているコピー
- 前の持ち主の涙のあとが・・・
- 前の持ち主の引いたアンダーラインが・・・
- これらはウソをついている。涙のあとは存在しない。きれいなフレーズで決まり文句になっているだけ。アンダーラインもあると逆に使いにくい。コピーを書くときは、そのコピーは本当なのか?と問いかけてみる。ウソを平気で書いていては、人を動かすための言葉にならない。
- 言葉遊び系
- いいコピーを書くには?
- 課題をあぶりだして、解決策として言葉を使う。
- なぜ使わないのか、どうすれば使うのかを考える。
- 古本屋のマイナス面とプラス面を考えてみる。
マイナス | プラス |
---|---|
そもそも本を読まない | 安い |
汚い。若者は潔癖症 | 他の古いモノは人気。骨董品とか。 |
普段の生活動線に入ってない。 | 似た業種は人気。フリマとかマン喫とか。 |
出会いがない。入りたがらない。 | 知的なイメージ?個性があるイメージ? |
- いいコピーの例
- 古本屋にニュースを作ろう
- 古本屋はいつ行っても同じ気がする。その先入観を打破する。
- 12月「大掃除」と3月「引越」は、古本屋のセールです。
- 合格者が使っていた本、続々入荷。
- 村上春樹フェアやってます。
- このように、情報性をプラスすることで、人を動かすことができる。
- 古本屋はいつ行っても同じ気がする。その先入観を打破する。
- 「新しい」を具体的に言う
- 古本屋とはいっても、新しい本も結構ある。そこをアピールし、皆が知らない価値を知らせることで人を動かす。
- 週刊少年ジャンプ、ほぼ水曜日発売
- ハリポタもさおだけ屋も、一週間後にはやってきた
- ベストセラーはその分、売りに出るんです。
- 古本屋とはいっても、新しい本も結構ある。そこをアピールし、皆が知らない価値を知らせることで人を動かす。
- 「キレイ」を具体的に言う
- 全本、殺菌抗菌済
- 本をきれいにする機械も日々進化
- こんな本、こんな時に。古いというマイナスをプラスに変える
- マイナスをプラスに変えるという切り口で人を動かす。具体性でせめる。漠然としていたらなかなか人を動かせない。
- お風呂で読書する人に
- ちょっと前のゲーム攻略本あります
- 楽譜なんかは任せてね(楽譜は時がたっても絶対に変わらない)
- 地球の歩き方なんて毎年そんなに変わりません
- 文庫版を待つか、古本屋に行くか
- 買おうと思っていた雑誌が次の号になっていた
- 「何だ、これ(笑)」あります!
- どうせ解説しか読まない読書感想文に新しい本はもったいない
- マイナスをプラスに変えるという切り口で人を動かす。具体性でせめる。漠然としていたらなかなか人を動かせない。
- 呼び名を変えてみる
- ネーミングがいまいちなので「再本屋」にします
- バックナンバー専門店
- フルホ
- 売る、という視点からアピールする
- アコムの前にお電話下さい
- 今日は燃えるゴミの日、あなたは財産を捨てました
- 「本は古くなっていない(性能が落ちてない)」を言う
- 図書館の模倣犯は75人が読んでます。古本は1人しか読んでません。
- 本って古いと何か変わるの?
- あらゆる中古品の中で、本は最も新しいと思う
- 異常に安い中古車は心配だが、異常に安い古本は嬉しい
- 古本屋にニュースを作ろう
- まとめ
- 悪いコピーは、古本自体を変えようとせず、若者が古本に合わせるようにしている。
- こちらの都合で相手を変えることはできない。
- 相手の都合で、こっちのいい点をアピールしていく。
- こういう視点を持つことが必要。
宣伝会議のコピーライター養成講座の宣伝
この講座で得られること
- ライティング力
- 発想力
- 企画力
- 人脈力
例えば、お刺身を「死んだ魚の肉」と表現したらどう感じるか。
表現を変えるだけで与える印象が全然変わってしまう。
いかに相手の心に響いて相手を動かせるかがポイント。
- 自分の土地に駐車してほしくないとき、どういう看板を立てるか。
- 無断駐車禁止
- 山口組所有地
- どちらが駐車をしなくなるか。後者の方が駐車しなくなるだろう。
コピーライターが求められている理由
コピーライターは、企業の課題解決のために言葉・アイデアを使う人。
企業は最近どうすればモノやサービスが受け入れられ、人に集まってもらえるか、わからなくなっている。
コピーライターが求められる時代になった。
コピーライターは、普通の人であることが大切。
若い感覚を持って、いい意味でミーハーで、ブームにのっかりたい人が向いている。
コピーライターにはどうすればなれるか・・・その決心と、努力
キョロキョロしよう・・・観る
- 乗り物は人の宝庫
- 観察の場として電車は最高。偶然座った向こう側の人はどんな生活をしているのか。
- 年齢は、職業は、家庭環境は、部屋の様子は、性格は、恋愛歴は、趣味は、今欲しいと思っているものは。その人になりきって想像してみる。
- デパートは商品の宝庫
- 一階から最上階まで、全売り場に行ってみる。行ったことのない所ほど念入りに。知らない商品は、店員に取材する。
- 本の題名はキャッチフレーズ
- 映画、演劇は月5本とかノルマを決めて見るようにする。
- たくさん広告を見る
- 新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、駅周辺のポスター、中吊り、店頭POPなど、世の中広告で溢れている。これはすべて教材。
- どんな商品が、どんな広告をしているか
- 競合の広告と比べてどうか。今までの広告展開との違いは?なぜこんな表現になったのか。自分だったらどうしたいか。問題意識を持つようにする。
- 雑誌は種類を豊富に
- 創刊号は全部買う。女性誌、男性誌、子供向け、熟年向け、できるだけ読者層の違うものを見る。外国のものにも目を通す。月10冊以上を目標に。
- 新聞はパターンを変えて読む
- 読む順番を逆にしたり、いつも読んでない欄を読んだり。
- メモ帳、カードは肌身から離さない
- 3秒以内に取り出せるところに入れておく。歩きながらでも書ける紙とペンを持つ。
- 消費者を尾行する
- 店内での買い物行動を観察し、なぜそれを買ったか考え付くだけの理由をあげてみる。
- 先入観を離れ、客観的に観察する
- 親とかおばさんとか高校生とか、観察対象は無限。
フムフムする・・・聞く
- 初対面の人から、素直に聞けるか
- セールスマンや店員と話をして、どのように説得しているかを聞く。
- 買う気があるとき、モノはよく見える
- その商品に対する店の評価、メーカーの評判、客筋の特性など、うるさいくらいに質問する。それが欲しくなった自分の気持ち、店員のセールス・トーク、会話内容をノートなどにメモ。
- 自信作、人に見せたらまるでダメ
- よくあること。めげずに批評してもらう。聞きっぱなしにせず作品に生かす。
- 人に見せる心得:説明するな。反論するな。
ワイワイする・・・話す
- 人の作品にめちゃくちゃケチをつけてみる。
- 一人でやっても友達とやってもいい。
ムチャクチャする・・・熱中
- 無我夢中になれるものを一つは持つ。
- 好奇心で夢中になり、感動し、熱中する。
- 洒落たコピーが書きたかったら生活をシャレる。
ウンウンする・・・書く
- 自分で選ぶ、今月のベスト10
- 本、映画、テレビ番組、歌、演劇、コンサート、デパートの催事、広告、飲食店、ニュースなど。
- 手紙を書く
- 一日、一エッセイ。書く習慣をつける。
- 感動したこと、関心を持っていること、初めての出来事など、エッセイ風に書いてみる。
- 引出をたくさん作る
- 何を書いても、描いても、何に書いてもいい。
- 挑戦!50案コピー
- ワンテーマで、キャッチフレーズ50案に挑戦してみる。49案ではダメ。
- 写す
- 好きなコピーライターを一人選び、その人の作品を徹底的に模写する。一字一句、点や丸も正確に、原稿のマス目に写す。
- スクラップの注意
- 切り抜いたものには、一言、何か書いておく。
- やたらに分類しない。する場合は大雑把に。6か月、一度も見なかったら思い切って捨てる。
コピーライターのためのコラム
阿久悠さん
「作詞家もコピーライターも同じ、その分野の過去50年の歴史を把握すること、
そして少なくとも3年先を予測する能力を持つことが必要。
かつての事件、流行語、ヒット商品などを知っておくこと。
1963年、新幹線が走り始めたとき、窓が開かないから、
東京駅のホームでの恋人たちの別れが変わるなと思いました。
電話の普及は『すれ違いドラマ』をなくしました。
ですから、新商品が出た、すごい会社だなぁ、では駄目。
それで暮らしはどう変わるか、普及したらどうなるか、
を考えるのがコピーライターじゃないかしら。
世の中の道具が変われば、人間の生活と情感が変わります。
私たちは近未来予測のために、生活感と生活観察の両方が必要なのです。
私は日誌を18年間つけてきた。その日、何に興味を示したかを全部書くのです。
1日が終わって、どんなに疲れていても、1日分の世界の出来事を調べて書く。
この職業は常に、社会の動きにどう反応するかが問われているのです」
感想
このセミナーを聞いて、コピーを書くときに大切なのは、課題は何で、それをどう解決するか。そのためにモノについて深く理解し、人について深く理解する必要がある。人を動かすという目的を持って、動かない原因を考え、解決策を考える、というプロセスが最も重要なことなんだと思った。谷山さんは理論派なので、理論はではないコピーライターの人は違う考え方をしているかもしれないけど、僕にはこの方がしっくりきた。
コピーを書く力はどんな仕事にも大切なことで、人を動かすという目的を達成する手段としてコピーを学ぶ必要がある。問題を発見し解決するのは仕事の基本だと思うので、コピーを書く力を今後磨いていくことで仕事力を向上させていこうかなと思った。
参考書籍
- 作者: 谷山雅計
- 出版社/メーカー: 宣伝会議
- 発売日: 2007/05/15
- メディア: 単行本
- 購入: 10人 クリック: 379回
- この商品を含むブログ (84件) を見る
みんなに好かれようとして、みんなに嫌われる。勝つ広告のぜんぶ
- 作者: 仲畑貴志
- 出版社/メーカー: 宣伝会議
- 発売日: 2008/12/16
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 39回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
- 作者: 土屋耕一/仲畑貴志/秋山晶/梶祐輔/小野田隆雄/眞木準/秋山晶/一倉宏/多田琢/児島令子/岡康道/佐々木宏/杉山恒太郎/山本高史/高松聡/内山光司/前田知巳/中村禎/小西利行/中島信也/佐倉康彦他,宣伝会議コピーライター養成講座
- 出版社/メーカー: 宣伝会議
- 発売日: 2007/07/15
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 51回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
◆◆このブログのサイトマップへ◆◆