俳句と川柳は同じ5・7・5の17音だが、その差はなにか。
最近プレバトで俳句が人気になっていたので、俳句と川柳の違いについて気になっていた。
たまたま「この差って何」という番組で紹介されていて、わかりやすく面白かったのでメモ。
例えば、秋の古民家の台所をお題に読むと。
A「さわやかや 蛇口ひねれば 水が出る」
B「独り居に 蛇口の水の 音やさし」
どちらが俳句でどちらが川柳か。
Aは、俳人 星野高士さんが詠んだ俳句。
Bは、川柳作家 杉山昌善さんが詠んだ川柳。
では俳句と川柳の違いを説明していく。
目次
俳句と川柳はルールが違う
俳句と川柳には、異なるルールがある。俳句の基本ルール
俳句には3つの基本ルールがある。
- 見た風景・景色を詠まなければならない
- 人間の心情は詠まず、見た風景を詠むのがよいとされる。
- 季語を入れる
- 季語は、季節を表す言葉。さわやかが秋の季語。
- 切れ字を使う。
- 切れ字は強調したい文を一旦区切るときに使う助詞。
例えば最初に詠まれた俳句では、「窓から見える秋の景色がとてもさわやかだったこと」を伝えたかった。
それで、「さわやかや」としてさわやかを強調している。
切れ字には、「かな」「けり」などがよく使われる。
川柳の基本ルール
川柳には1つのルールがある。
それは、人間を詠むこと。
主人公はあくまで人間。
俳句と川柳は誕生した歴史が異なる
平安時代、俳句と川柳の元になった和歌が大流行していた。和歌は、5・7・5・7・7を1つの詩として詠んだもの。
和歌の基本ルールは、俳句と同じ3つのルールがあった。
室町時代になると、1人で詠む和歌から、連歌(れんが)が誕生した。
1人目が5・7・5を詠むと、2人目はそれを受けて7・7の句を詠む。
3人目はそれを受けて、5・7・5を詠むすると、1人目がそれを受けて7・7の句を詠む。
これをどんどん繋げる遊びが連歌。
和歌は個人戦。
連歌はチームプレー。ゲーム性と即興性が加わり、貴族の間で流行った。
江戸時代初期になると、連歌が庶民の間にも広がった。
しかし、庶民が詠むものは貴族から見ると滑稽に見えたので、滑稽という意味を持つ俳諧(はいかい)という言葉をつけて、俳諧連歌とよび区別した。
そして、俳諧連歌から新たな遊びが誕生した。
それは、俳諧連歌の5・7・5のみを詠む新たな遊び。
明治時代になると、これを正岡子規が俳句と名付けた。
一方、川柳も江戸時代に俳諧連歌から生まれた文芸。
江戸は100万都市で、人が多かった。
庶民が一番興味があるのは身近にいる人だった。
そして、「なるほど、こういう人生もあるよね」という人間観察から生まれたユーモア、ウィットに重きを置いて庶民が楽しむようになった。
季語や切れ字の細かいルールよりも、自由に身近な人のことを面白おかしく詠もうという江戸庶民の感性から生まれたものが川柳。
なぜ川柳と呼ばれるようになったのか。
川柳は、柄井川柳(からいせんりゅう)という人の名前からとったもの。
1765年、江戸中期に柄井川柳が選んだ庶民の句をまとめた句集「誹風柳多留(はいふうやなぎだる)」が江戸でベストセラーになった。
これで川柳の名前が広く知られるようになり、川柳さんの名前をとって川柳と呼ぶようになった。
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